Saturday, July 11, 2015

AKBと労組

フォロワーさんの「アイドルは労組を作れるのか?」という疑問。

自分としては、芸能人がたいていの場合、(芸能事務所とマネジメント契約を結んでいる)個人事業主だという認識でおり、それじゃあ労働者じゃないから労組は作れないだろうと即答したわけです。

一方、あるフォロワーさんが判例を用いて、「管弦楽団の楽団員が労働者と認められた例がある。」と指摘。アイドルでも労組は作れるのではないかという見解を提示しました。

実際にその判例の解説において「労組法上の労働者は,労働基準法上の労働者とは異なり,雇用関係の存在は必要とされず,失業者,家内労働者を含み,またプロ野球選手やサンダル加工者など,いわゆる個人事業主を含みうる。」(米津孝司・労働判例百選[第8版]9頁、太字は筆者による)とあり、私の考えは完全に間違っていたということがわかりました。

ではその判例を見ながら結局アイドルは労組を作れるのか?の答えを自分なりに考えてみようかなと思います。



内容に入る前に2点。

1点目。
上記を見ると察しがつくと思われますが、私自身、労働法をほぼ勉強したことがありません。
そのため誤った情報、見解、解釈が書かれている可能性が大いにあります。予めご了承ください。

2点目。
ここでの労組とは、あくまで労組法によって労使交渉をすることが認められた「労働組合」のことを指します。
というのは、「労働組合」と称する組合を作るのは誰でも可能だからです。「労働組合」が実際に労使交渉の出来る組織となるためには、当然法律の要件に当てはまった実態を持つことが必要です。



では例の判例から。
労働法の判例百選の初っ端に載っている基本的な判例だったようです。(不勉強すぎて辛い)

中部日本放送・CBC管弦楽団事件
民間放送会社とその放送管弦楽団員との間に締結された放送出演契約において、楽団員が、会社以外の放送等に出演することが自由とされ、また、会社からの出演発注に応じなくても当然には契約違反の責任を問われないこととされている場合であつても、会社が必要とするときは随時その一方的に指定するところによつて楽団員に出演を求めることができ、楽団員は原則としてこれに応ずべき義務を負うという基本的関係が存在し、かつ、楽団員の受ける出演報酬が、演奏によつてもたらされる芸術的価値を評価したものというよりは、むしろ演奏自体の対価とみられるものであるなど判示のような事情があるときは、楽団員は、労働組合法の適用を受ける労働者にあたる。
(判タ 337号 186頁)
論点は、楽団を運営するCBCと、その楽団に属する団員の関係を見た時に、団員が労組法上の「雇用する労働者」に該当しうるかどうか、という点でした。

双方の主張は、
CBC側は、団員は契約上CBCとは独立した個人事業主である。
団員側は、団員は実質的にCBCに雇用されている労働者である。
とのものでした。

最高裁としては、
①契約上、団員が自由に動けると書いてあっても、実際問題、原則として団員が楽団の指示に従わなければいけなかった点(→組織的従属性がある
②出演報酬が、芸術的価値の評価して決められた額ではなく、単なる演奏の対価であり、あくまで楽団員の生活のために支給される最低保障給のような性質だと認められる点(→経済的従属性がある

を考慮して、
楽団員は労組法上の「労働者」であり、労使交渉をすることが出来る主体だ。
との結論に至っています。

結局、一見、雇用しているような契約じゃなかったとしても、実質的に雇用されていると認められれば、労組法に基づいた団体交渉ができる。というわけです。(厳密に言えばこの表現は正しくないのですが)



では、アイドルが労組法上の労働者に当たるのか。

Ⅰ大前提

①アイドルと言っても多種多様のものがありますが、今回はAKB48に絞ってみていきます。
②メンバーと事務所の契約関係はわかりませんので、憶測によります。
keiyaku
「メンバーがAKSと出演契約を結び、ソロ活動については芸能事務所とマネジメント契約を結ぶという2本立て(図中1)の可能性もゼロではありません。ただ、一般的にマネジメント契約は独占性を伴うので2本立ては考えにくい。メンバーは芸能事務所と独占的に契約を結び、AKB48の活動のときだけAKSを通じて劇場に出演しているのかもしれません(図中2)」http://president.jp/articles/-/5200
個人的にも図中2の可能性が高いと考えるため、以下の考察は図中2の矢印で表される契約関係にあると推測します。


Ⅱ考察

①AKS所属のメンバーが、労組法上、AKSの労働者に当たる可能性は非常に高い。

1)株式会社AKSについて
皆さんご存知の通り、AKB48のメンバーはまずAKSに所属します。
このAKSは、それらメンバーのマネジメントを行う芸能プロダクションとしての役割だけでなく、AKB劇場の運営も行っています。

2)AKSとAKS所属メンバー間の契約書上の関係について
契約書を見ないことにはどのようなことが規定されているかがわからないのでなんともいえないところはあります。ただしいずれにせよ判例に規定されているとおり、文面上の規定よりも実際の働き方をみたときに実質的に「雇用」とみなせる関係なのかが結局重要になりますので、今回は契約の文面について憶測することはしません。

3)AKSとAKS所属メンバー間の実際の関係についての評価
では実質的にAKSがAKS所属メンバーを雇用しているかのような実態があるかについて検討します。
公演について。公演を行うにあたり、メンバーは、1公演ごとに出演するかどうかAKS側と交渉をしているとは到底考えられず、むしろAKS側のマネージャーから送られてくるメールに素直に従って出演をしていると考えるほうが妥当です。その点、AKSが指揮命令の権能を有しているといえるでしょう。
公演以外のいわゆる外仕事に関しても、AKSが実質的に指揮命令の機能を有しているものと思われます。実際、メンバーからこのような意見が出ていることもあり、どの仕事を優先するのかといった話で本人の意思が優先されることは少なく、あくまでAKSの意思が強く介在しているものと考えられます。

4)結論
以上よりAKSとAKS所属のメンバーには組織的従属性が非常に強く、AKS所属のメンバーが、労組法上、AKSの労働者に当たる可能性は非常に高いのではないかと推測します。

よって、たとえば、「賃金が少ない」等のケースが発生した際に、AKS所属のメンバーが賃金を上げるべく労働組合を組織し、AKSと交渉することは可能なのではないかと考えます。




②他プロダクション所属のメンバーが、労組法上、AKSの労働者に当たる可能性。

これは考慮することがもう少し増えていくので、少し時間をおいて考え直したいと思っております。



中途半端にはなりますがこの辺で。














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