Tuesday, February 2, 2016

難波と博多のドキュメンタリーについての雑感

毎月1日は映画が安い!…なんて話を耳にしまして。

中本で北極の炎を食べながらタイムスケジュールを見てたら、「あ、これいけるやん!」なんて思い、その10分後には映画館に座っているという暴挙をしたわけですが、個人的には(胃腸的に)爆弾を抱えてましたし、周囲の客からしたら(口臭的に)爆弾のような存在だったでしょうね…。
突発的に行動する癖がなかなか抜けない結果、よく失敗をしてしまいますが、依然NO反省なんですよね、自分。

※画像はイメージです。

というわけで2本を一気に見てきましたので感想を述べたいと思います。

ネタバレについてですが、具体的な描写の表現はできるだけ避け、感想に終始するつもりですが、そうはいかない部分も多々あります。予めご了承ください。



「道頓堀よ、泣かせてくれ!DOCUMENTARY of NMB48」


感想を大きく2つに分けて述べます。

①全体の展開について
 ⇒ 一般人になじみやすい王道のストーリー

ストーリーを要約するとアイドルのドキュメンタリーにありがちな王道のものに行きつくように思います。私自身もそこまでNMB48に詳しいわけでもなかったので、各エピソードについての説明やそのエピソードの背景が丁寧でわかりやすかったのは非常にいい点だなと思いました。一方NMB48というグループ特有のストーリーはあまり見えてこなかったような気がしました。普段アイドルに触れていない方が撮った作品ということで、それはある種仕方のないことなのかもしれません。

グループを牽引する者の苦悩、対照的な次世代エース候補の様相、選抜になかなか入れない者の苦悩と自己決定。こうやって抽象化してしまうと「よくある話」に収斂しそうな気もします。個人的にもなんとなく今まで何度も見た、ある種古臭く、でも確実でわかりやすいストーリー運びだったように思いました。

途中途中で須藤さんがニーチェやJ・S・ミルの文言を引用しながらアイドルについての哲学的な疑問を投げかけていますが、結局アイドルが立ち向かっている諸問題も、哲学になりうるような一般人も遭遇する話なんだというメッセージを監督は伝えたかったのでしょうか。
という意味で、監督は特に一般人に対して、アイドルの抱える問題は人間一般が抱える問題と大差ないというメッセージを伝えているのではないかと思いました。

余談ですが、総選挙へ向けCDを大量に買う行動をとることについて、ファンにインタビューをする様子がありましたが、特にあれこそが総選挙現象に対する「一般人からの」疑問を明かしたドキュメンタリーであることの証左だと感じました。(もっともそれがNMB48のドキュメンタリーで描かれるべき必要性はあまりないと思いますが、本作で沖田さんのストーリーを描く上では必要不可欠なものだと思います。)

ところで前掲の哲学の話、監督が書いたのかなと思いきや、エンドロールによると須藤さんともう一人の方(誰か見落とした)が原稿を書いた、とのことでした。あの散文があまりにストーリーの軸と一致する内容なんで、本作に向けた創作なんでしょうが、あれがどこまで監督の意図が介在した内容だったのかは気になります。
いずれにせよ須藤さんの語る哲学に沿って、具体的なエピソードが展開する(そして時に須藤さん自身もその対象となる。)という展開を見ると、このドキュメンタリーは世間で言われるような「山本彩さんの、沖田さんの、矢倉さんのストーリー」というよりは「須藤さんの紡ぐ物語に具体的なエピソードを証拠のように入れこんだストーリー」のように思いました。

言い換えると、結論として、あの作品は一般人という観点から、NMB48という素材を通して、グループアイドルにまつわるありがちな問題を見てみると、全て須藤さんの語る哲学的な問題に一般化できた、そういう作品なのではなかろうか、というのが私の印象です。

王道のストーリーに慣れたような濃いファンは、初めて明かされるような具体的な事例を楽しめばよく、
ライトなファンや一般人は、全体として描かれる王道のストーリーを楽しめばよい、
そういう作品なんだろうなと思います。


②印象的なシーン
 ⇒ アイドルとしての夢に拘り続けることが、美徳なのか?

さて、とはいいながらも沖田さんのストーリーはやっぱり印象的です。

創成期のチームNのメンバーとなれず、
公演番長と呼ばれるほどに公演で活躍するも選抜に声はかからず、
総選挙でも速報で呼ばれながら、本戦で結果が出ず、
ファン、自身ともども、どうすればいいかわからず苦悩をする。
そして同様の状態に陥ったメンバーが夢を諦め、次の道を選んでいく。
それでも諦めずにアイドルとしての夢を追い続け、
最後にそれは報われ、沖田さんは苦節5年、初めて選抜となる。

こういうストーリーを見ると「努力は必ず報われる、アイドルとして夢を追い続けることはいいことだ」のようにどうしても聞こえてしまったのは私だけでしょうか。

特に河野早紀さんが「可愛いコがたくさんいる中でモチベーションを持つだけの自信がなくなってきた。」みたいなことを言って辞めていく姿と、それでもめげずにやり続けて結果を出した沖田さんが完全に二項対立の構図となっていて、沖田さんを+と表現するこのストーリーでは、河野さんがどうしても-と表現されてしまうんじゃないか?と思ってしまったのです。
物事はそんなに単純化されないような気がしますが、沖田さんのストーリーを感動的に描く上では、そのような描き方をするのが一番適切だというのもわかります。
結局もやもやが残りながらも沖田さんのストーリーを見ていました。

しかし最後に河野さんは再び出てきたことでこのもやもやが晴れます。
河野さんはTBSラジオでインターンをしている状況とともに「努力は積み重なっていく、いつか報われるものだと信じて頑張る」のようなことを言っていたと思います。
即ち決して河野さんは-であるかのように表現されるものではなかったのです。「どのような形であれ、途中で方向性が変わったとしても、夢に向けて努力を積み重ねていくことが何より大事」ということなのでしょう。
その一つの形が沖田さんであり、その一つの形が河野さん、なのだろうと私は認識しています。

結論として沖田さんは「アイドルとしての夢を粘り強く追い続けた結果報われた例」としてではなく「努力をし続けた結果報われた例」として描かれていると捉えるのが妥当なのだろうと思います。



尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48


NMBのドキュメンタリーが終わり、10分後にHKTのドキュメンタリーを見るという強行軍でしたw

①全体の展開について
 ⇒ ストーリーというよりは短編集

大まかな展開としては、メンバーの述懐をもとに映像資料を入れていく感じというべきでしょうか。
NMBのように全体のストーリーが強調されているというよりは、時系列に沿って重要なポイントをいくつかピックアップし具体的に説明しているという感じでした。
例えばセンターが変わる、という事件について、インタビューを通して誰が誰に対してどういう感情を持ったかということを明らかにしていったり、
例えば指原さんが来る前と後で具体的にMCがどのように変化したかを、見ていて片腹痛くなるような映像を使いながら明らかにしていったり、
例えば選抜を決めるに当たって、誰がどのような意思決定を行っているのかを映像を以って明らかにしていったり。
重要な事象ではあるが今まであまり明確にされてこなかったことにメスを入れていく、というのは見ていて面白いものがありました。

また、そ野中で、指原さんの映像の編集風景を見せながら、なぜここにこのシーンを入れるか、入れないか、という構成の意図を差し込んでいたのは興味深かったです。監督初心者ならではという感じだけれど、そういった意図の説明は何ともありがたいものでした。
さらに映像に挿入される指原さんのナレーションも、思わず誰かと話したくなるようなツッコミどころについてしっかり触れてくれている感じでありがたいものでした。

以上のように一つ一つの独立した事象について、今まで明かされなかったところを丁寧に説明しているという感覚を受けました。という意味ではライトなファンも濃いファンも平等に楽しめる作品、というところなのでしょう。

また、ストーリーを明確にして個別の事例を当て込んでいく演繹的な展開のNMBのドキュメンタリーと、事実を集めてストーリーを紡ぎだそうとする帰納的な展開のHKTのドキュメンタリーという感じがして、全く違うスタンスで構成されているなあというところは非常に興味深かったです。


②印象的なシーンについて
 ⇒ 上野遥さんの物語を、ドキュメンタリーと言って良いのか?

坂口さん、上野さんという2人がかなりフィーチャーされていました。

指原さんは以前より「りこぴおじさん」の部分が泣けると話題に上げていましたが、その通り非常に面白かったです。アイドルにとってのファン、ファンにとってのアイドル、という熱い関係性を、丁寧に追って、明確に示していたところは、感動的でしたし、ある種共感する部分も多かったです。

一方、上野さんの描き方は、事実をただ克明と記すドキュメンタリー映画と性質を異にするものがあるんじゃないかと違和感を覚えました。上野さんが報われるべき存在だというのはわかるんです。痛いほどわかるんです。でもだからといって映画の為に作為的に作った物語を「はい、ドキュメンタリー」と提示されてもあまり感動が沸いてこない、むしろ興ざめするまであったのが正直なところです。
いや、ドキュメンタリーということを抜きにして考えればすごく感動的なんですよ。ひねくれ者で申し訳ないといった感じです。

あとフィーチャーされていなかったメンバーで、個人的に印象的だったのは谷さんです。
後藤泉さんの卒業発表を見に来た谷が人一倍泣いている様子だとか、総選挙でランクインするHKTメンバーの様子をSKEの席から立って喜んでいる姿、あんなのを みちゃ うと「いい奴だなぁ」って惹かれちゃいます。



さて、以上が個人的な感想となります。

ちなみにHKTのドキュメンタリーが終わりにさしかかるころ、胃腸にある爆弾の導火線に火がついて、上映終了まで冷や冷やしてました。そんなこんなもあってHKTのドキュメンタリーへの感想が若干薄い気がしていますが、許してください。

あーだこーだ言ってますが、両作品とも非常に面白かったです!


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